ネットがつかえない

”絶対アタマオカシイ”って、絶対思ってるから

紙一重の正義をここに

つい近頃のある日、夜、当然ですよ。

 

ウチの店先に見知らぬ人が立って、こちらを見てぺこぺことアタマを下げてる。

謝ってる、じゃなくて、ああ何か用があるんだなって、当たり前なんですけど。

 

夜の九時過ぎですよ。

おっかないじゃないですか、何だか。

 

 

「間借りさせてもらえないですかね」

 

ですって。

いきなり。

 

 

無礼は無礼なんですけど、事の次第そのものは実はこの業界では突飛なほどのことでもなくて、つまり”面貸し”とか、ヘアサロンではいわゆる”業務委託”的な雇用や場所の提供っていうのはめずらしくはないんですよね。

 

それはそれとして、さておき。

 

 

 

でもやっぱり、なんだかよくないんですよ。

感じが。

で、追い返せるほど邪険でもないつもりのあたしは一応おハナシも聞いたりしたんですけどやっぱ、聞けば聞くほど、ダメなんですよ。

 

あたしなにも、他人様を計れるような立派ないきものでもなんでもありません。

だからって、”ああ、それはないよね”くらいのことをジャッジできる程度の素養はくらいはわきまえて生きているつもりではあるのでやっぱ、ああダメだなって、ものすごく面倒臭くなって。

 

 

地元の、しかも狭い業界なので、話せば話すほど共通の話題とか、人とか、割りとハナシの察しの付くことばかりで。

そんな中で、家賃半年滞納してたけどそんなのどうにでもなるとか、新しい店を出す場所を探しているところで、今はないけどお金なら何とでもなるとか、そんないきさつの一つ一つに世間に対するものすごい恨みや嫌悪の感情がぐるぐる渦巻いているのが露骨なほど明らかで。

 

 

申し訳ない、とは一応言いながらその申し出はもちろんお断りしたんですけど、その人が話すには、他のところではものすごい扱いを受けたこともあったらしく、用件を持ち出した途端に疫病神を追い払うがごとく罵声を浴びせられたり、容姿から蔑まれたり、とても不愉快な思いをさせられたそうです。

当人にとっては、ということなんですけど。

 

罵声を浴びせるまでのことはしないですけど、やっぱりあたしも”はやく帰ってくれないかな”とは、ずっと思っていましたよね。

話を聞いているあいだずっと。

 

 

お互いにバンドの趣味があって、そんなことで”今度はギター持って遊びに来ますよ”って帰っていかれたんですけど、本音はノーサンキューで。やっぱり。

 

 

そんなことに一番に思ったことは、その人の立ち行かない感じのこととか、それにしてもその姿勢が変わりそうにないこととかそんなことではなく、パッと見の印象からすでにそんな感じを予感させる人が、事が、自分の身に近付いてきた、という事実そのものについてということで、もしそういったあまりよろしい感じがしないことを、今の自分が呼び寄せてしまったような、呼び寄せてしまうような空気を振り撒いてしまっているのだとしたら、それはものすごく悪い予感こそ思いついてしまうよなあ、ということで。

 

 

物事の因果はたぶん、一方的であることはほぼないはずで、たとえ心当たりがなくても必ず自分自身にもそれにまつわる何らかの原因はあるものなんだと、個人的には考えるもので。

 

よくないなあ、と直感したならそれらしく、自分はそれを正しく的確に排除できるのか、そうして気付いて今の何らかのたたずまいのようなことを正すことが出来るのか、今日もものすごく面倒な気分に引き摺られながら過ごしています。

 

”ギター持って遊びに来ますよ”

 

それはあたしにとっては単純に”呪い”で、罠みたいな予感しかしない。

同じ世界に、同じ生業を持って暮らしながら、いろんな側面に生きている人がいてそれはとても当たり前のことなんですけど、それにしてもならば自分は、という慎重なような気分を思いつかされたことはなかなか近頃にはなかった衝撃のようなことで、だからこそ、苦しいながらも今日も自分の居場所を維持できていることは少しでも素直に、自分ばかりでも自分を少しだけ褒めて、より良くしていける勇気とか気力とか、一番にはやっぱりそれに関わる自分なりの正義のようなものをちゃんと、鍛えて手放さずにいたいものだよなあと、ものすごく心細く思う今日このごろなのです。

 

世の中、どうかしとるよ。